分校キャンプ2006 その7

分校へ戻る途中、長老とホーミーは車を降りた。
Tの子供にクワガタ虫を見せてやろうと思ったからだ。
川の側にクヌギが植えられているところがあった。
しいたけのホダ木用か薪用か炭用か、
そんな目的かもしれない。

しかし、木に近寄ってみると、
何だか頼りない木であった。
ひょろっと伸びていて、クヌギ特有の
重厚感に欠けている。
甘い樹液の香りもしない。

木は間違いなくクヌギだが
若いせいか、人工的に植えられているからか、
幹には傷がなく、樹液も出てなさそうである。
それでも一応、根の周りを掘り返し、
幹を蹴り、クワガタ虫がいないか探した。

しかし、結果は惨敗で、何も出てこなかった。
クワガタ採り5段(ナベの会認定)の長老としては
失望を通り越し、憤りすら感じていた。
仕様がないのでホーミーと二人岐路に着く。

帰り道は意外と長かった。
分校から5分くらいの場所かと思っていたら、
15分はかかってしまった。
だが、ひとつだけ良いことがあった。
ホーミーが道に落ちているクワガタ虫を見つけたのだ。
長老が気づかず踏み潰してしまうところを
ホーミーが救い出したのだ。

コクワガタのメスであったが、
クワガタ虫には変わりない。
拾ったことは隠して、捕まえたことにするよう
二人で口裏を合わせたことは言うまでもない。

分校へ戻ると隣の水田や畑付近で
アカトンボ(アキアカネ)が舞っていた。
捕虫網を持っていたので捕まえることにする。
しかし、これがなかなか難しい。
子供の頃は大量に捕まえていたのだが、
今回は一匹捕まえるのも一苦労だった。
数匹捕まえたところでホーミーに網を渡す。
しかし、ホーミーはトンボ獲りの経験がないのか、
結局捕まえることは出来なかった。

コクワガタ
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アキアカネ
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どちらも写真を撮るのを忘れていたため引用写真です。
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# by blackcat1996 | 2006-08-19 12:13 | 野外活動

分校キャンプ2006 その6

滝の裏側で乾杯は
水しぶきまみれの乾杯だった。

ホーミーの指摘どおり、
水滴は缶の小さな飲み口から
有無を言わさず進入してくる。
はじめの数口は問題なかったが、
手に持っている間に入ってきたのだろう。
缶の半分ほど飲み干す頃には
何だか薄くなってきていた。

本来のビールの風味が
損なわれていることは否めない。
しかし、それを上回る感動があった。
全身に水しぶきを浴びながら、
マイナスイオンに包まれ、
滝の向こうに見える青空を眺めながら、
夏を感じた。

缶ビールを飲み干すと、
私たちは滝から出た。
時計を見ると午後4時を指していた。
山の奥では周りの山に囲まれているため、
日が落ちるのが早い。
急いで分校へ戻った。
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# by blackcat1996 | 2006-08-18 23:59 | 野外活動

分校キャンプ2006 その5

ザーッという水音と絶え間なく落ちる滝に
囲まれた長老は、外界から閉ざされているような
錯覚に陥る。

すっかり角が取れてしまった岩肌と
絶え間なく落ちる水のバリアとの間は
それほど広くない。
正義の味方の秘密基地なんてものはなく、
あるのは水しぶきと岩肌に付いた
植物たちだ。

ほんの数メートル向こうには
仲間がいるのだが、
水のバリアの向こうにしか、
その姿は確認できず、声に至っては
滝の音にかき消され、まったく聞こえない。

それでいて滝の裏側は静寂な空間であった。
激しい雨が降る日に家の中で過ごしているときに
感じる静寂と似ている。
滝からはじき出される無数の水しぶきが体中に降りかかる。

滝を通して空を見る。
まぶしい太陽の光が滝を透かして、裏側に到達し、
青い空がぼんやり見える。
外界の風景が水を透過して見えるため、
自分が水と同化しているようにも感じられる。

気持ちがよかった。

いったん、滝を出る。
「K、ホーミーよ、ビールを持て!」
少しおどおどした目でKが答えた。
「何するんですか?」
「滝の裏側で乾杯だ。これを味わった人は
ほとんどいないはずだ。この滝ではおれたちが
最初かもしれないぞ。」
ホーミーが言う。
「長老、ビールの中に水が入りませんか?」
長老は缶ビールをKとホーミーに放り投げながら
「それもまた一興ではないか?」と
微笑んで見せた。

強引に2人を滝へ引き連れていく
長老の姿を見ながら、
きっとJは「自分でなくてよかった・・・」と
いうような安堵の表情を浮かべ、
岸から私たちを見守っていた。
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滝の中へ突入する長老
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# by blackcat1996 | 2006-08-16 22:23 | 野外活動

長崎さるく博 前編

先日、長崎さるく博に参加した。
この博覧会は日本で始めての街歩きを
メインにした博覧会であり、
長崎の歴史や文化の一端を
垣間見させるものである。

「さるく」とは長崎の方言で、
「ぶらぶら歩く」と言う意味であり、
その意味のとおり、
長崎の街をぶらぶらと歩いて巡る
博覧会と言うわけだ。

この博覧会は主に
「長崎遊さるく」「長崎通さるく」「長崎学さるく」
の三つのメニューがあり、
「長崎遊さるく」では42の散策コースを設定しており、
「長崎通さるく」では、そのうち32コースに
ガイドがついて案内するものである。
「長崎学さるく」は講義と散策がセットになっていて
より深く長崎の歴史と文化を理解するものになっている。

長老はこのイベントについては
いかがなものか、という気持ちがある。
昔の雰囲気もわずかしか残っていない、
長崎の街を観光客が散策して、
はたして楽しいものであろうか?
これは地元の人が再認識するためのもの、
あるいはマニア向けのものではないかという
感じがしたのだ。

とりあえず参加してみた。
コースは「丸山巡遊コース」
ここは江戸時代に海外貿易で潤っていた
長崎の遊郭跡だ。
その後遊郭は規模を縮小しながら、
昭和31年の売春防止法施行を受けて
廃止されるに至った。

長老も戦後当時の丸山を知る人に
話を聞いたことがあるが、
高校の月謝を学校に納めず、
握り締め、丸山に行く学生もいたとか。
格子戸の内側に綺麗な女の人に
夢中だったんでしょうね。

それでは出発します。
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# by blackcat1996 | 2006-08-08 09:32 | 風景

分校キャンプ2006 その4

一通り、掃除や宿泊の準備を済ませた私たちは
子連れで参加するTを待った。
30分ほどすると、Tが妻と子を連れ到着したため、
滝へ向かった。

滝へは車で20分くらい、一面に杉が植林された
尾根を抜けていく。
この風景を見ると、ここは林業の町(村)なんだなあと
実感する一方、水を貯めるダムとしての森林の機能は
どうなんだろうと考えてしまう。

尾根を過ぎると、ひたすら山を下る。
窓を明けてもせみの鳴き声がしない。
まだ、梅雨明けもしていないこの時期は
夏本番ではないのだろう。

やがて水の音が聞こえてきた。
滝はすぐそこだ。
林の中のカーブを曲がると滝が見えた。
落差20~30メートルを誇るこの滝は間近で見ると
圧巻である。
水量もそこそこあり、滝らしい滝である。
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滝から数十メートル下流にある駐車場に
車を止め、滝へ向かう。
「ああっ・・・」
滝にはすでに先客がいた。
しかも釣りをしている。
おじいちゃんが孫に竹の竿を持たせて
指南しているようである。
ここではヤマメはいなさそうだから、
タカハヤでも狙っているのだろう。

何故、ここで長老が残念がるかというと
滝つぼで遊べないからである。
滝つぼに無神経に入れば、子供の夢を
壊すことになる。
もしかしたら、遠く東京から孫が遊びに来て
つかのまの田舎暮らしを体験させているのかもしれない。
都会の喧騒の中で生活する孫は生きた魚を
触るのは今回が初めてかもしれない。
そう思うと、長老は足を水に浸けることができない。

といいながら、長老やKやホーミーはすでに
服を脱ぎ始めていた。
窺っていた。釣りをやめる瞬間を。
それまでは滝つぼから流れる川のところで
ぴちゃぴちゃ足を浸けて戯れていた。
5分後、釣りをしていた孫は休憩に入った。
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すかさず、長老はKに目で合図を送り、
滝つぼへ突入した。
そして轟音をとどろかせ落ちる水の中に向かった。
ゴオッー。
すごい音と強烈な衝撃が体を襲う。
頭や背中が水の圧力で痛い。

そして滝の落下を通り抜け、
流れ落ちる流れの下にある空間に入った。
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# by blackcat1996 | 2006-08-04 00:09 | 野外活動

続・東京出張 完結編

博物館を出た長老は夕方の飛行機出発までの
時間をいかに過ごすかを考えていた。
晴れていれば、どこかの街を散策というのもいい。
しかし、小雨降る中の見知らぬ街の散策は
危険が大きすぎる。
以前、そんなことをやっていて飛行機に
乗り遅れそうになったことがあった。

ふと、昼ごはんを食べていないことに気づき、
両国駅近辺にあったちゃんこ料理店にいってみる。
しかし、すでにランチの時間は終わり、
午前中に見た、お得なちゃんこ定食は
表のメニューから消えていた。
ちゃんこは食べたいがお金はあまり出したくない。
諦めることにした。

山手線と地下鉄を乗り継ぎ、
長老は浅草へ向かった。

てんぷらが食べたい!

今までにも何度か浅草には行ってはいるが、
お好み焼き、どじょう、うなぎ、あんみつ、蕎麦、
そして、大衆飲み屋のモツ煮込み。
しかし、てんぷらは食べてなかった。

長老は浅草初心者にも気軽に入れそうで、
雑誌にもよく載っている「D」へ向かった。
しかしお昼の時間を過ぎていたためか、
本店は閉まっていた。
別館は営業していますの張り紙があったため、
歩いて数十メートルの別館へ行く。

店内に入ると、
喪服を来た地元のおばちゃん3名と、
20代男性1名、40代男性1名の3組の
先客がいた。
2階にも数組客がいるようだ。
メニューを見て、海老天丼を注文する。

天丼を待っている間、することがないので
他の客の観察をする。
おばちゃん3名は近所の噂話を話し続け、
お互いに相槌を打ち合っている。
右隣の40代男性は一心不乱に天丼を食べており、
時折、携帯電話を気にするような素振りを見せる。
隣の20代男性がガイドブックを眺めていたが、
途中、ふと思い出したようにデジカメを
バッグから取り出し、おもむろに目の前の天丼の
写真を撮った。

くそっ、先を越された。
別に同でもいいことだが、
天丼が来たら早速撮影しようとちょうど
考えていた最中であったので
つい反応してしまった・・・。

長老のテーブルにも天丼が来た。
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つゆをたっぷり吸った海老が強烈な個性を
かもし出している。
しっとりとした衣が九州男児の長老には珍しい。
早速、海老天を食べる。
ごま油の口いっぱいに風味が広がる。
しっとりした感触だ。

しかし何だろう。
疲れているせいもあるのか、
あまり食が進まない。
このしっとり海老天がコンビニの天丼みたいに
感じてきた。
どうやら、長老には味が濃すぎるようだ。
やはりてんぷらは
さくさくとしているほうが好きだ。

とりあえず、名物を食べたという満足感は残ったが、
どじょうや蕎麦を食べたときのあの感動は
残らなかった。

飲み屋に立ち寄ってホッピーを一杯やりたかったが、
時間が迫ってきていたため、足早にその場を去り、
地下鉄に乗るべく雷門前の横断歩道を渡った。

両肩にのしかかる
なんとも言いがたい疲れを感じながら、
帰りのフライトでは
夢の中にいるであろうな、と
地下鉄の改札を通りながら思った。
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# by blackcat1996 | 2006-08-01 22:50 | 日常

分校キャンプ2006 その3

ギネスは最高だった
車の窓から見える濃い緑色の
山々の景色が夏が来たことを物語っている。
視覚に訴えかけるそれらの風景を
眺めながらのビールはたまらない。
開放感がそうさせるのだろうか。

後部座席に座るホーミーも
しっかりと缶を握り締め、
グビッグビッと喉に流し込んでいる。
後続車に乗るKも同様であることは想像に難くない。
長老も隣で運転する会長に悪いと思いつつ、
ビールを飲み干した。

目的地の近くの街に入った。
ここで食品等を購入して、山道を登って分校へ向かう。
まず、スーパーで買出しする前に腹ごしらえだ。
携帯電話で後続車へ連絡する。

K「ウナギが食べたいです。職場の人に○○へ行くなら
うなぎが美味しい、と聞きました。」
長老「ウナギは時間がかかるぞ」
K「そうなんですか。」
長老「分校へ着くのが遅くなる!」
K「じゃあ、何でもいいです・・・(寂しそうに)」

新人Kがかわいそうになったので、
ウナギを食べに行くことにした。
中心部にある老舗の店は結構時間がかかるので、
国道沿いの店に行くことにした。
以前、食べたことがあり、老舗に負けず劣らず
美味しかったという記憶があったからだ。

しかし、会長も長老も店の場所をよく把握しておらず、
周辺をうろうろするも見つけることができなかった。
結局、中心部の老舗に向かう。
この場所は何度か来たこともあって、すぐわかった。
ホーミーに言った。
「もうすぐ美味しいウナちゃんに会えるよ。」
「楽しみです!!」

20分後、私たちはその街の郊外にある
大型スーパーの中のマクドナルドでハンバーガーと
ポテトを食べていた。

実は老舗の近くに行くと、アメリカの警官の格好をした
中年ライダーがハーレー等大型バイク(しかもサイドカー付き)の
集団がうなぎ屋に入ろうと順番待ちをしていた。
駐車場もいっぱいである。
ここで車を降りて待つのもいいが、2時間のロスは確実だ。
そうなると滝に行けなくなる。

苦渋の決断だった。
長老はおもむろにポケットから携帯電話を取り出し、
後続車へ連絡した。
「撤退!スーパーへ急げ!」

ということでむなしくポテトを食べているのである。
やがて、だらしなく食事を終えた私たちは
カートを持って、店内を回る。
一通り野菜や肉を購入したときであった。
長老の目の前にウナギが販売されていた。
「おおっ!」
開かれて焼かれたウナギが
こちらを見ているような気がする。

黙ってその中の1パックを長老は手に取った。
蒲焼ではなく、白焼きを。
そして、振り返ってKに言った。
「これで我慢しろ。」
Kは何も言わず、ただコクリと頷いた。

分校へ着いたのはちょうど2時半を過ぎた頃だった。
皆で手分けして掃除や荷物を分校内へ運ぶ。
長老は窓に網を張り、対蚊戦略に取り掛かった。
次に蚊取り線香を各部屋とトイレに設置した。

トイレの側から集落を眺めると、
ここ10年変わらぬ景色がそこにあった。
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分校の横を流れる水無川もいつもどおりである。
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一番初めにここに来たときに
事前に川が流れていると聞いて
川遊びをしようと張り切っていたら、
名前のとおり水がほとんどなくて
がっかりしたことを思い出した。
今年は大雨のせいか流れがあるようだ。

1年ぶりの分校は以前と変わらないまま
ナベの会を待っていてくれたようだ。
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# by blackcat1996 | 2006-08-01 00:19 | 野外活動

続・東京出張3

翌日、長老は谷中・根津あたりを散策使用かと
考えていたが、外はあいにくの雨。
精神的に、体力的に疲れていたこともあって、
予定を変更することにした。

前に出張で来たときから、行ってみようと思っていた場所。
「江戸東京博物館」
地下鉄と山手線を乗り継いで、両国へ向かう。
駅の付近には「ちゃんこ料理」を出す店がいくつか見られた。
国技館があるのだ。
長老は相撲に興味があまりないので素通りし、博物館へ向かう。

台形の屋根を持った特異の形状の建物が目の前にそびえ立つ。
3階の入場口付近は大きな広場になっており、
端の方に入場エスカレーターがある。
チケットを買って、入場。

展示室に着くと、まず日本橋の模型が入場者を歓迎する。
長さは半分らしいが、幅は同じなのだろう。
この橋が五街道の起点となったのだと思うと、
なんだか感慨深い。
一歩一歩踏みしめて、前へ進む。
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展示室には江戸の町並みの模型や神輿が展示されている。
ミニチュアの町並みを携帯電話のカメラで撮ろうとするが、
人が多く、ベストポジションが取れない。
よく見ると学生ばかりで、どうやら修学旅行の一団と
遭遇したらしい。
ゆっくり見ていると、ガイドが学生を引き連れてやってくる。
ガイドの説明と学生の質問が続く。

静かに回りたかった長老は、展示品に集中できず、
人だかりの隙間をちょこちょこと動き回る状況であった。
ゆっくり見たかった長老としては
この状況に耐え切れず、集中力が次第に薄れつつあった。
疲れがたまっていたのも影響しているだろう。

予定より早く博物館を出た。
外はあいかわらず小雨が降り続いていた。

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江戸時代の庶民の出産風景だそうです。
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# by blackcat1996 | 2006-07-29 22:54 | 日常

分校キャンプ2006 番外編1

分校キャンプ出発の前日、
長老は熊本市へ向かった。
早朝出発のため、当日の朝から家を出ると
到底間に合わないのである。

毎年のことだが、昼過ぎに到着し、
その足で熊本ラーメンを食べに行き、
ホテルにチェックイン。
シャワーを浴びて、ビールを飲む。
しばらく休んだところで外出する。

学生時代にお世話になったお店(食堂だったが
今はパン屋)に顔を出して、近況報告などして、
その後にキャンプの準備のための買出しに出かける。
食品は当日買うので、主に雑貨を買う。

今回は分校の一部の窓に網戸がなく、
蚊の侵入を許していた苦い経験から、
ネットを買いにホームセンターに出かけた。
ホームセンターは長老が昔住んでいたアパートの
すぐ近くにあったため、
アパートがどうなっているか立ち寄った。

以前住んでいた街に入ると、
忘れていた思い出が次々と頭の中をよぎる。
通っていた理髪店、ビールをよく買ったコンビ二、
割った窓ガラスを購入したガラス店、
街を去る際に記念の古い腕時計を買った古道具屋、
10年前にタイムスリップしたようだ。
自転車で行き交う学生を見ながら、
学生街の独特の雰囲気に大学生だった自分に戻る。

そんなことを考えながら街を歩いていると
公園が見えてきた。
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この公園もいろんな思い出がある。
以前からすると雑草が増え、手入れが行き届いていないが
そのままの姿を保っている。
夏祭りでビールを飲んだこと。
留年が決まった日、時が過ぎるのも忘れ
ブランコに揺られ続けていたこと。
同級生から1年遅れで卒業式した日に
友人と記念写真を撮ったこと。

なんだか自分を巡る旅になって来たようだ。
しかし、やはり10年の歳月は流れており、
近隣の古い家が取り壊され、空き地になったり、
新築の家になったりしている。

そして、そのまま歩き続けると、
長老が住んでいたアパートの
オレンジ色の屋根が見えるカーブにさしかかった。
久しぶりの対面である。
立ち止まって、前方を見つめた。

くすんだような感じがする鈍いオレンジ色の屋根、
隣の駐車場との境にある生垣、
窓から下がるTシャツなどの洗濯物、
といった長年見慣れた風景は
すでにそこにはなかった。
すっぽり何かが抜け落ちたような
空間が広がるだけであった。

一瞬信じがたい思いにとらわれ、
近くへ駆け寄って見ると、砂利が敷き詰められ
駐車場になっているではないか。
隣地のアパートや駐車場からまちがいなく、
長老のアパートがあった場所である。
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改めて見ると、砂利も経年変化は特に感じられず、
まだ敷き詰められて間もないようだ。
その状況から、解体したのはつい最近のことであろう。
雑草も端の方に少し生えているだけだ。

「夏草や兵どもが夢の跡」
芭蕉の句が頭を巡った。

小雨がぽつぽつと降り始める中、
長老は黙って、振り返ることもなく
その場を後にした。
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# by blackcat1996 | 2006-07-28 21:57 | 日常

分校キャンプ2006 その2

7月15日、晴れ
まだ梅雨は明けていないが、気分はすっかり夏休みだ。
熊本駅でナベの会会員と合流。
長老は前日に熊本入りしており、
夜の繁華街で十分に熊本の味を楽しんだ。

駅に集合したのは、全部で5名。
長老と会長、福岡支部のJとその友人K、
愛知支部のホーミーである。
KはJからキャンプの話を聞き、参加を希望した
有望な新人。
ホーミーは昨年キャンプでデビューし、
夜間に恥ずかしい写真を撮られたが、
懲りずに今回参加。
仕事の都合で1泊しかできないのに、
わざわざ愛知県から新幹線で駆けつけた酔狂な奴である。

私たちは自己紹介を済ませた後、熊本市内の会長実家へ行った。
ここにキャンプ道具などを保管しているのである。
会長実家へ着くと、早速荷物の積み込みにかかった。
今回はテント泊ではないので、比較的荷物も少ない。
しかも若手ホーミーとKが積極的に働いてくれたため、
長老は端の方でこっそりサボっていた。

荷物の積み込み終了。
長老とホーミーは会長が運転する車へ、
KはJが運転する車にそれぞれ乗り込み出発した。
太陽の強烈な日差しが車のガラスを通して差し込んで来る。
絶好のキャンプ日和だ。

出発して、すぐコンビニエンスストアに立ち寄る。
移動中のお茶を購入するためだ。
会員がお茶の冷蔵庫の前で思案しているのを見つけ、
長老は声をかけた。
「ホーミー、Kよ。お前たちは運転はしないだろう。
それならビールを飲まなくてはいかん。このビールを買え。」
二人の手にギネスの缶を持たせた。

Kは言った。
「Jさんが運転してくれているので・・・」
うむ、先輩であるJが運転しているのに後輩である自分だけが
良い思いをするわけにはいかないということか。
いい心構えだ。
しかし、ここはナベの会。
楽しめるときに楽しめ!が合言葉。

青空の下、開放的気分で道路を駆け抜けて行く状況で、
ビールを飲まないとはもったいない。
運転手には後で特別待遇ということで
優遇措置が待っているので、ここはあえてビールを飲み、
運転手の分まで楽しむのが良い、と説得。
会長やJに「どうだろう?」と問いかけると、
二人とも諦めたような表情で、苦笑いしながら
「飲んでくれ」との言葉を発した。

その言葉を聞いて、ホーミーとKはほっと胸をなでおろし、
缶ビールを片手にレジへ向かった。

(今回は写真はありません。この時は写真を忘れてビールにおぼれていました・・・)
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# by blackcat1996 | 2006-07-26 20:48 | 野外活動